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水辺で遊び暮らす(水生猿のお話)

類人猿1  これまでの人類起源に対する処々の疑問に対して、新しい説が日本でも注目を集めつつあります。
 その新しい説とはアクア説、別名水生類人猿説といい、「これまで人類の祖先の化石が見つかっていない、今から500万年以上前のいわゆる”ミッシング・リンク”の時代に、私たちの祖先は一時期、半水生生活を送り、そののち再び、陸での暮らしに戻った。その半水生生活こそが、人類への進化の引き金となった」という考えです。

 霊長類としての7000万年間、そして人類としての500万年間、私たちの祖先が歩いてきた道のりは、マンネリと飛躍のくりかえしであった。
 私たちの遠い祖先は、恐竜が絶滅した時期にアフリカで樹上生活を求めて大飛躍をした。
 およそ3000万年前には類人猿の仲間がアフリカ、アジア、ヨーロッパで発展したが、私たちの祖先はその一員として、アフリカの森の中でぬくぬくと暮らしていた。

 人類にいたる進化の系統樹を飾る化石は、発見されているものが極めて少ない。
化石と化石のあいだの空白はかなり大きいうえに、その解釈にも相当な開きがある。主流をなす専門家たちの意見は食い違い、新しい発見がある度にそれによって一時的な恩恵をこうむる陣営も変わる。

サバンナ説
 現在、正統とされているその結論というのは、こうだ。今から2000万年前、第三紀中新世と呼ばれる気候条件の温和な時代に、体毛のある、まだ原始的で種々の特徴が混じった類人猿の集団が繁栄していた。その内のごく少数には大きな臼歯が発達し、これは食物の変化と身体の大きな人類へ移行しつつあったことを物語っていた。
 1900万年前から600万年前のあいだの、より乾燥した第三紀鮮新世のある時点で、これらの類人猿の一種ないし複数の種は、減少しつつあった森林地帯を捨て、温暖で開放的なサバンナ地帯へ移り、徐々に二足歩行の傾向を強めていった。そしてついに、現生人類のように身体を直立させて行動するが、古い類人猿的な頭と脳をとどめた、どっちともつかない生き物ができあがったのである。

 アフリカの鮮新世の化石層の中には、関係を裏付けるのに必要な証拠の骨はまだ見つかっていない。400万年前から1000年前の時期には、ただ、暗いブラックボックスが大きく口を広げているばかりだ。
 はっきりとした化石による記録がなく、わが現生人類のー直立し、体毛がなく、言語をもち、大きな脳が発達した人類のー本当の起源も、類人猿のそれに劣らず謎だらけなのだ。

類人猿2 アクア説(水生類人猿説)
 現在までに解明されたさまざまな事実と辻褄の合うシナリオは、ひとつしかないと私は思う。われわれが現在のようになったのは、ただ単にわれわれの祖先がある時期に多くの間を水の中で過ごしたから、というものだ。森を捨てたのち、サバンナの大平原に直接おもむかず、その前に何百万年か水の中で遊び暮らしていたサル、つまり水生のサルだったというものである。
 これは以前に、ほかの動物にも起ったことだ。それもかなり頻繁に。
 1000万年あまり前に水に入って泳ぎ始めたサルが何百万年も水生生活を続けたとしたら、体に大きな変化をこうむる可能性は少なくないだろう。
 世界に現存する体毛のない哺乳類はすべて水生であるか、ほとんどの時間を水と泥の中でころげまわりながら過ごしているかのどちらかだ。

 ここ20年の研究で、人間の新生児は不思議にも、ほとんど生れた直後からうまく泳げることが判明している。顔の肌が水に濡れると、すぐさま発動するきわめて興味深い反射がひとつある。顔が水につくと心拍が自動的に減り、体の酸素消費率が低下するのである。通常の心拍数が一分当たり70なのが30にまで落ち込むという「潜水反射」は、人類とクジラやアザラシに共通して見られるもので、ほかの陸上動物にはまったくない。

水に入ったことのもうひとつの影響が、われわれの性行動にも表れている。水生動物はおおむね、腹と腹をつき合わせて交尾し、それ以外の方法をとることはかえって難しい。
 霊長類の中でこうしているのはわれわれだけで、他の類人猿はこれをしない。となると、この方面におけるわれわれ特異性はーーほかの霊長類にはなくて水生動物にはあるこの特異性はーー長期にわたって人間も水に潜った段階を経ている可能性と何らかの関係があると言えないだろうか。
 哺乳動物の中でも人類だけが恒常的に後ろ脚で歩く。まったくの二足動物だという意味で、しかもそのことを「どうしてか」などと考えてしまうという意味で、ヒトは他にまったく類がないのである。
 四足より二足の方が早く動けるわけでも、エネルギー効率がいいわけでもない。
 何百万年ものあいだ、多くの時間を垂直の姿勢で過ごしてきた水生のサルにとっては、陸上の生活に戻ろうとしたとき、おそらく二足で立つ姿勢の方がとりやしかったろうし、その方が自然だったろう。

(参考)
人類はどこで誕生したか
水生類人猿説(Wikipedia)

テーマ : 地球
ジャンル :

tag : 人類 化石 サバンナ 起源 原始 類人猿 アクア 哺乳類 新生児 性行動

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